活性型ビタミンD3製剤による転倒防止効果

 

 Dukasらは, 378名の高齢男女(平均年齢75歳)をアルファカルシドール1μgまたはプラセボを投与した群に無作為に割り付けし,9ヵ月後の転倒者数を比較した.その結果,アルファカルシドール群では,プラセボ群よりも転倒者数が少ない傾向にあったものの有意差はなかった(オッズ比[OR]:0.69, 95%信頼区間[CI]:0.41~1.16)Rしかし,対象者をカルシウム摂取量が1日512 mg 以上に限定した場合,アルファカルシドール群で転倒者数が有意に減少していたと報告している(OR:0 .45, 95 % CI :0.21~0.97, p= 0.04)8).

 また, Gallagherら9)は,無作為に割付けられた65~77歳の女性において,カルシトリオール0.5μgを3年間連日投与した群(n= 86)では,プラセボを投与した群(n= 96)よりも,転倒頻度が有意に少なかったと報告している(p<0.01).

 ビタミンDの転倒防止効果のメタ解析

 Bischoff-Ferrariら10)は,前述の5つのランダム化比較試験5)-9)の結果を用いて,ビタミンD(天然型および活性型)の転倒防止効果に対するメタ解析を報告している.このメタ解析では,調整後のORは0.78であったことから(95 % CI:0.64~0.92),ビタミンD(天然型および活性型)の投与は,転倒のリスクを22%減少させることが明らかとなったlo).また,この報告では,治療必要数(numberneeded to treat)は15(95% CI:8~53)であると述べている。 すなわち,1人の転倒を防ぐには,15人にビタミンDによる治療が必要であると考えられる.

 わが国におけるビタミンDの転倒防止効果に関する研究

 萩野ら11)は,多施設共同研究において,6ヵ月間の活性型ビタミンD3製剤(アルフアカルシドールまたはカルシトリオール)の投与前後における転倒関連運動機能と転倒頻度の変化を検討した.この研究は,利き手の握力が18 kg 未満である75歳以上の閉経後骨粗鬆症患者を対象として行われたが,活性型ビタミンD3製剤の投与後に,転倒関連運動機能として評価した握力,5m歩行速度,Timed up &goテストが有意に改善していた(p< 0.05)1".しかし,解析症例数が29例と少なかったことなどから.転倒頻度の有意な減少までは得られなかった.わが国におけるビタミンDの転倒防止効果に関する研究は非常に少ないため,今後は日本人を対象とした多数の研究によるエビデンスの蓄積が望まれる.