活性型ビタミンD3製剤の薬理作用

 

 活性型ビタミンD3の骨作用をラットやマウスで検討してみると,生理的なビタミンD作用以外にも,その薬理学的な作用として骨吸収の抑制をもたらすことが明らかにされている.一方で,骨形成は低下せず,結果として活性型ビタミンD3投与により骨量の減少が抑制されるという成績が得られていが).この成績は,活性型ビタミンDバこは骨吸収を抑制し骨形成を維持するという薬理作用が期待できることを示唆している.また,その骨吸収抑制作用は,破骨細胞前駆細胞におけるCS発現の抑制を介することが報告されている4'.ビタミンDの作用はすべて1,25(OH)2DがビタミンD受容体と絡合して発揮されると想定されるため,天然型ビタミンDと活性型ビタミンD3作用の相違は,それぞれの組織に対する作用強度の相対的な違いによるものと推測される.

 ビタミンDのカルシウム代謝に関する作用が過剰になると,高カルシウム血症やそれに伴う腎障害が問題となる.したがって,ビタミンDのカルシウム代謝作用にくらべて骨代謝に対する作用を強力にもつ薬剤が得られれば,骨粗惹症に対する有望な治療薬となることが期待される.このような発想から,多くの活性型ビタミンD3誘導体が合成され,その薬理作用が検討されてきた.その結果,現在では生理的なホルモン活性を有する1,25 (OH) 2 D3(カルシトリオール), 25位に水酸基をもたないプロドラッグであるアルファカルシドールおよびカルシトリオールに側鎖を導入したエルデカルシトール[la,25-ジヒドロキシー2β-(3-ヒドロキシプロピルオキシ)D,]が骨粗程症の治療薬として用いられている.


 活性型ビタミンD3の骨折抑制効果

 日本では活性型ビタミンD3製剤としてアルファカルシドールが広く用いられているが,欧米ではカルシトリオールがおもに用いられている.理論的に両者の薬理作用には大きな相違ないものと考えられており,臨床研究のメタ解析や系統的レビューでは両者を活性型ビタミンD,と一括して評価していることが多い。 これまで最も大規模な活性型ビタミンDパこよる骨折抑制効果を指標とした臨床試験は, Tilyardらによりニュージーランドで実施された622人の閉経後骨粗鬆症女性に対する,カルシトリオールによる3年間の椎体骨折抑制効果に関するものである

 この研究では,カルシウム1g/日を投与した対照群にくらべてカルシトリオールにより椎体骨折抑制効果が認め天然型ビタミンD各臨床試験の結果を統合すると,活性型ビタミンD3投与群における椎体骨折の発生は対照群にくらべて0.64 (95%信頼区間:0.44~0.92)であり,骨折抑制効果が認められる.また,天然型ビタミンD投与試験の成績を加えたビタミンD投与群全体においても,椎体骨折の発生は対照群にくらぺて有意に低い.