ビタミンD代謝物測定法

 

 試料を測定前に簡易カラムまたは高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で精製し,フタル酸ジブチル(DBP)などの干渉成分を除去する方法がかっては一般的であったが,最近では試料から直接ビタミンD代謝物を抽出し測定できるキットも日常検査法として普及している.

 ビタミンD代謝物測定法としては, DBPを利用した競合的結合蛋白測定(competitive protein binding assay ;CPBA)法,ビタミンD受容体を利用した放射受容体測定(radioreceptor assay ; RRA)法,抗体を利用した免疫測定法(RIA法, EIA法,CLIA法など)がある.最近では,抗体技術の進歩などにより免疫測定法においてD,とD3の識別が可能ともなっている.

 一方,日常検査法として汎用されていないが,液体クロマトグラフ質量分析技術を用いたタンデム型液体クロマトグラフ質量分析(liquid chromatography-tandem massspectrometry ; LC-MS/MS)法を用いた測定も可能なり,各代謝物を特異的に測定できることも可能となっている.

基準値と測定データ判読

 25(OH) Dの基準下限値は,おおむね10 ng/mL前後に設定されている.基準値下限未満は,骨軟化症をきたすビタミンD欠乏症(成人では骨軟化症,小児ではくる病)と診断される.一方, 100 ng/mL以上ではビタミンD中毒症と診断される.また, 25 (OH) D測定値が基準値範囲内であっても低値の場合,ビタミンD貯蔵量が不十分な非充足状態のことがあり,このような態をビタミンD不足(in-sufficiencyまたはinadequacy)と呼ばれている.

 1,25 (OH) 2 Dの基準下限値は,おおむね成人および小児とも20 pg/mL に設定されている.20 pg/mL 未満は,ビタミンD欠乏症と診断される.70 pg/mL 以上では,副甲状腺機能亢進症,ビタミンD依存性皿型(ビタミンD受容体障害),サイコイドーシス,先端巨大症,成長期,妊婦,授乳期,エストロゲン投与などの可能性が示唆される.2ビタミンD代謝物濃度測定の評価(臨床的意義)(表2)3)-12)

 25 (OH) Dおよび1,25 (OH) 2 D測定は,ビタミンD欠乏症の診断および鑑別診断には必須である.種々のビタミンD代謝異常症の正しい診断には25(OH)D測定を行わないかぎりは不可能であるが,わが国での保険適用は1,25(OH)2Dのみであり, 25 (OH) D測定は保険適用となっておらず,現在,体外診断用医薬品製造承認申請中であり,その経緯が待たれる.

 1,25(OH)2 D測定は,高カルシウム血症,低カルシウム血症の鑑別診断において,血中PTH測定とともに,慢性腎不全,特発性・術後性副甲状腺機能低下症,ビタミンD依存性I型(1α一水酸化酵素欠損),偽性副甲状腺機能低下症などでは,重要な臨床検査項目となっている.

ビタミンD欠乏症とビタミンD不足の場合

 25(OH)Dの測定は,体内のビタミンDの充足状態を最も正確に反映するものとして,近年,その測定の重要性が世界的に注目を浴びている.

 ビタミンD欠乏症で1, 25 (OH) 2 D値が低値となることはきわめてまれであり,むしろ,高値となるのが一般的である(PTH分泌亢進と低リン血症により1α一水酸化酵