TAM投与:ラロキシフェン(raloxifene ; RAL)やバゼドキシフェン

 

 TAMの場合,次世代型のSERMであるラロキシフェン(raloxifene ; RAL)やバゼドキシフェン(bazedoxifene ;BZA)が骨粗鬆症治療薬として用いられているように 閉経後では骨に好ましい効果を有するが,閉経前では骨密度を低下させるといわれている.骨折防止に対するエビデンスはないが, RALやBZAが骨折防止効果を有することから,少なくとも閉経後では骨折防止効果があることが想定されている.

 一方,AIの場合にはエストロゲンの血中および組織濃度を著明に低下させるため,骨密度の低下をもたらし,骨粗鬆症を発症させる. ANAとTAMを比較したAnastro-zole. Tamoxifen Alone or in Combination (ATAC)試験4)において, ANAは5年間投与で腰椎骨密度を6.1 96,大腿骨頸部骨密度を12%おのおの低下させ,骨折頻度はANAで5.9%, TAMで3.7 %と有意差を認めている.

 AI治療による臨床骨折率に関し, Chienら5jのまとめによると,対象はすべてTAM投与例であるが,ANAを用いたATACとLETを用いたBIG l-98c)において, TAMと比較しておのおの有意に臨床骨折の増加を認めている. TAM単独投与例と2~3年AIを使用したあとのTAM併用投与例を比較したABCSG 8 /ARNO 95刎こおいては,TAM単独例よりもTAMに行してAIを使用する併用例では骨折率は2倍増加するという.一方, EXEとTAMを31ヵ月投与し,比較したIES8)では,臨床骨折率に有意差を認めていない.しかし,このIESでも5年間与例(追跡期間中央値:55.7ヵ月)では,骨粗鬆症の発症率はEXEで7.3%, TAMで5.5%であり,有意差(p=0.01)を認めている.さらに骨折率の比較でもTAMの3.1 %にくらべ, EXEは4.3%発し,有意差(p=0.03)を認めており, EXEでは骨折率が増加しないということではない


前立腺癌に対する性ホルモン低下療法による骨折リスクの上昇

 性ホルモン低下療法により,前立腺癌患者の骨密度は低下するとされており,各種の報告9)-!4)をまとめると表3のようになる.いずれも躯幹骨DXAにて測定されたものであるが,対象もさまざまであり,治療内容も各種異なっている.これらの結果から,1年間性ホルモン低下療法を行うと,腰椎で2~4.6 %,大腿骨で1.8~2.3%の骨密度の低下が生じることが示されている.

 前立腺癌患者は高齢者であることが多く,もともと低骨密度であることに加えて,性ホルモン低下療法に起因する骨密度の低下もあり,骨折リスクも増大する.さらに,性ホルモン低下療法は筋力の低下をきたすことから,転倒リスクも高まる.なお,性ホルモン低下療法に伴う前向き研究は行われておらず,すべては後ろ向き研究である.このなかで, Krupskiら15)の報告では, 50,613例を対象としており,5年以上生存し得た例のうち,性ホルモン低下療法・・・