遠隔放射線診断

 

 遠隔の放射線画像診断はすでに実用化されています。病理医ほどではありませんが、放射線診断医も都市部に偏在していますので、十分な診断医がいない施設もあります。X線画像に関しては、伝送された両像で診断することは原則として医師法上での問題はありませんが、どのような画像をどのような機器を使って伝送した場合に読影可能と考えるかは医学界のコンセンサスの問題です。このコンセンサスには2つの要素があります。第一は、モニター診断のみによって診断が可能かという問題と、第二は画質がどの程度以上でなければならないかという問題です。

 第一のモニター診断については、すでに保険診療でもフィルムが必須ではなく電子保存が認められたため、制度上はほとんど問題はありません。しかし、医師の習性の問題が残っていますので、教育を含めたモニター診断への方向づけがますます重要といえるでしょう。第二の画質については, CT,MRIなどの最初からデジタル信号の医療機器では以前よりコンセンサスが得られていました。以前は問題にされていた単純写真の分野でも, CR, DRなどの機器が普及してきましたので、解消されつつあります。しかし、既存のフィルムをデジタイズにするには、サンプリングピッチ200mm,濃度分解能10ビットが必要です。そこで、モニターに表示するには解像度1,000×1,000,濃度方向への解像度8ビットが最低必要であるという点に留意する必要があります。

 このように制度上も問題点が解消された放射線画像ですが、伝送の過程でカメラの性能、デジタイザーの性能、伝送時のデータ圧縮, CRTの性能、画像処理機能などの問題がX線写真の種類と複雑に絡んでおり、条件を一義的に表現するには困難なことから、伝送システムと医療機器に合った回線を選択する必要があります。しかし現状では回線の利用代金が高額であり、通信費を考慮することが重要です。