論文の評価基準:構成(organization)、明晰性(clarity)、読みやすさ(readability)、整合性(relevancy)、首尾一貫性(consistency)、独創性(originality)

論文の評価基準:構成(organization)、明晰性(clarity)、読みやすさ(readability)、整合性(relevancy)、首尾一貫性(consistency)、独創性(originality)

文章は、何かを、ある目的をもって、だれかに伝えるためのものです。その文章を書く訓練は、まず、文章を読むことに始まります。話すには大いに聞く必要があります。文章を書
くには、たくさんの文章を読み、名文、駄文、うまい文章、よい文章に対する文章感覚をみがくことが大事です。

 レポートの評価 

 文章には形式(form)と内容(content)があります。学生のレポートを採点するときには、この両面に注目した評価をします。そのうち、形式面では、構成(organization)、明晰性(clarity)、読みやすさ(readability)などをチェックします。

 全体の構成が悪い文章は、乱雑に包んだ品物と同じです。明晰な文章は、文や段落に結束性があります。簡潔で、読みやすい文章は、構成がよく、文の長さ、段落の長さ、文体、用語に適切性を備えているものです。

 内容面では、課題との整合性(relevancy)、首尾一貫性(consistency)、独創性(originality)などを調べます。どんなにすばらしい論文でも、心理学の課題に言語学の論文を書いたのでは意味がありません。すばらしい意見でも、レポートの課題に応えていないものならば無意味でしょう。論理に一貫性が欠けていれば、折角の内容を効果的に伝えることに失敗してしまうものです。

 学生のレポートでは、教育的な見地から、書くのにどれほど努力(effort)したかを評価してもよいと思います。しかし、研究的な論文では、成果の方が大事です。どれだけ時間をかけたかではなく、理論の卓抜性や価値ある結果を得たか否かで、その評価が分かれます。

読者あっての文章を書く

 思想(研究)をわかりやすく、間違いなく、しかも効率的に伝えるためには、少なくとも次にあげるような点に配慮した文章を書く必要があります。

 読者あっての文章を書くこと 

 文章には読者がいます。新聞は一般大衆という読者をもっています。学術論文の読者は、その専門分野の学徒です。文章は読者が読むためにあり、読者の興味をひき、読者が理解しなければ無用のものです。著者は自分の仕事を読者と結びつけること、自分を読者の側に置いた書き方のできることが必要です。文章の質は、この読者と相対的に決まります。日記のような文章は別にして、書くときには、常に特定の読者を念頭においた文章を書くことを忘れないことです。文章は、すべて読者あってのものです。

 文章設計をすること  読みやすく、わかりやすい文章を書くためには、構想を練ることが大事です。それには、書くことに時間の余裕をもって望む必要があります。文章には、“締切り”という時間の制約があります。それが応々にして著者の手元を狂わせます。時間に追われ、結局、不本意ながら文章を提出してしまったという経験は、だれにも一再ならずあることでしょう。

 一ヵ月をかけて、アメリカ旅行をするのに、ニューヨークに行くことだけを考えて出発してしまう人がいます。一日一日の旅程を明確にして出発する人もいます。すでに、アメリカについては知りすぎるほど知っている人には、旅程表は不要かも知れません(それでも、多くの人は計画を立て旅程表をつくって出発します)。一方、よく知らない人には、アメリカ
を知るための準備と、明確な旅程表が是非とも必要です(にもかかわらず、たいした準備もなく出発する人がいます)。

 文章を書くには計画(文献や資料を探すこと、データに当たること、調査をすること、ノートをとること、……)も旅程表(アウトライン)をつくることも必要です。これをしないと、何を書いているのかわからなくなったり、旅には出たものの、帰ってくることができなくなってしまったりします。書き始めてから主題を変えることを繰り返し、何も書けずに終わってしまうようなことが起こるのはこのためです。