発達障害の早期対応のポイント-両親援護

 

 各障害別の早期対応の実情とその成果については各章でふれられているので、ここでは早期対応全般を通して重要な意義をもつ両親援護の問題について簡単にふれておきたい。

 障害があったりその可能性を有する子どもをまず第1に支えるのは両親および家族である。しかし、わが子の異常や障害に直面したほとんどすべての親は情緒不安定になる。親は一般に親になる準价歐はあっても障害児の親になる準備はできていないからである。これは乳幼児期の発達に重要な意味をもつ親子の相互交渉を不安定にさせる。さらには子ども活動性や反応性か弱いために親からの働きかけが通常の子どもにたいするよりも知らず知らずのうちに少ないものとなっている場合もある。これは障害そのもの以上に、あるいは障害と重なりあって、子どもの発達を損うという結果をもたらしかねない。親が子の状態を正しく認識・受容し、障害にたいする見方を確立して、育児に自信をもって臨めるようにすることは、障害児では普通児以上に重要なことである。さらにいかなる制度、社会資源を利用しうるものであるか、今後の見通しをどのように切り拓いていくかなど、両親教育の内容となるべきものは少なくない。この両親援護におけるポイントは以下のように整理される(村川、 1983年)。

  「問題の解決過程が子供、両親、関係者の共同作業であることへの認識を深めていく方向で、子供の育ちの事実を中心にすえながら、両親が、①子供への養育方法的にも情緒的にも安定を確保すること、②当該児が家族の一員として生活することへの家庭内の人間関係に調和を確保すること、③地域社会のなかで臆することなく親子で諸行事、施設利用に加わること、④①~③を通して生活上、職業上、居住環境上の適応と充足を確保すること、の諸点を到達目標とすることである。そして両親が療育を構成する諸局面に参与すること、問題や状況への改革的態度を保持すること、そして子供の発達課題→実践→発達の事実を通し親・関係者双方の人格的価値を高めていくことである。」

人権の確立、擁護は能動的、主体的活動を展開するなかで果たされる。生活上の不利益の多い障害乳幼児については特にこの点を明確にしていく必要があり、これがまた育ちを保障するものとなる。障害乳幼児対策がほとんど確立されていなかった段階から、親の会の活動・努力を通して多くの母子通園事業などの早期療育へのとりくみが展開されてきた経過にも、上述の点の重要性をみてとることができる。