発作時の処置と日常生活

 

 てんかんの主な症状は、けいれんと意識障害である。てんかん発作が生じたときにみられるけいれんと発作症状は実に多彩であり、実際に発作場面に遭遇した場合、症状に応じた処置が望まれる。

 一般的にけいれん発作を伴う場合は、①周囲の危険物を取り除き、②着ている衣服をゆるめ楽な状態にし、けいれんが終わったら、③顔を横に向け、唾液や吐物が流れ出やすくする。通常、てんかん発作は数分の短時間でおさまるが、いったん発作が始まってしまうと、その間はいろいろ手だてをつくしても発作を止めることは困難であり、発作時に居合わせた人は、上記の3点に留意したうえでできるだけ発作の経過を詳しく観察した記録が、診断、治療にきわめて有用な情報を与える。また、大発作などの強いけいれん発作を伴う場合、発作に気づいた畤には、すでに歯は固く閉じられており、舌をかまないようにと思って、無理に歯のあいだに何かを挿入することは困難であり、かえって口のなかや歯を傷つけたりするので、そのような処置は普通は必要がない。発作が終わったら、たまった唾液をふきとり、呼吸の再開と意識混濁の回復を待つ。

 また、けいれん発作を伴わないてんかん発作の場合には、けがや火傷を負わないように周囲に気をくばることが主で、患者の行動を強制的に抑制することは好ましくない。

 しかし、発作が反復して起こるため、意識が回復する前に次の発作がおこるようなてんかん重延状態になると、あとに脳障害が残る可能性も大きく、最悪の場合は生命の危険をも招く。このような事態では速やかに熟練した医師の手あてが必要となり、ジアゼパム静注などによりけいれんを止め、てんかん重延状態から抜け出す手だてが必要である。

 てんかんの治療は薬物治療が中心となるが、日常の生活状況も治療効果に大きな影響をもたらす。主な留意点としては、①規則的な睡眠、②暴飲・暴食をしない、③アルコール類は制限する、④発作が頻発するときには極度の身体疲労やストレスを避ける、などがあげられる。これらのことは、てんかんの人にのみあてはまることではなく、一般的に健康のために留意すべきことがらであり、規則正しい日常生活を送るために必要な事項にほかならない。活き活きした心身の活動時には発作がむしろ少ない。