てんかんの診断と治療

 

 てんかんの診断

 てんかんの診断においては、そもそもその患者がてんかんか否かを鑑別し、その発作型が何であるのかを確認することが大事である。したがって、けいれんが最初におこった身体の部位や発作中の経過などについての問診によって得られる情報に加えて神経系や身体所見と種々の諸検査から得られる情報にもとづいて、総合的な診断がなされる。検査としては、採血と検尿によって血液と肝臓、腎臓などの機能状態が調べられる。このほかに、脳の形態的状態を調べるために種々の放射線検査を用いることがある。特に最近では、CTスキャンなどの装置が開発され、脳にほとんど侵襲を加えることなく、脳の断層撮影が可能となってきており、脳の微妙な構造的偏位をかなり正確に把えることが可能となってきている。これに加えて、脳波検査の所見は欠くことのできないものであり、これらの多面的な情報にもとづいて診断と治療の指針がたてられる。

 てんかんの治療

 てんかんの治療は、薬物治療と日常生活の指導を中心としておこなわれる。

 現在、抗てんかん剤として、多数の種類のものが市販されている。それぞれに、効果があるてんかん発作型とてんかんのタイプが決まっており、どの薬をどれくらい服用するかが、治療の開始にあたって決められる。抗てんかん剤の服用に伴う効果は個人差が大きく、またその時の状態や他の薬との相互作用などによって左右されるために、その種類と使用量を慎重に決める必要がある。最近では、服用中の抗てんかん剤の血中濃度を測定しながら適量を決めていく方法がとられるようになってきている。患者も処方にしたがってそれを忠実に服用することが重要であり、規則的に指示された抗てんかん剤を服用しないかぎり、てんかんの克服は、きわめて困難である。たしかに、てんかんの治療は、何年もの長い時間が必要とされる場合が多いが、根気づよく取り組むことによって、それを克服することは可能である。そうすることにより脳の活動状態も安定していき、脳波上でも突発波が消失して抗てんかん剤の服用量を徐々に減らしていくことができるのである。

 てんかんの治療としては、薬物療法のほかに、まれに脳の外科的治療がおこなわれることもあるが、これは薬物治療の効果がなく、発作が生命の危険を招くなどきわめてきびしい条件を満たす場合に限られたものである。また、一部の小児の難治性てんかんでは、薬物療法と平行してケトン食や飢餓療法、MCT (medium chain triglycerides)療法などの食事療法がおこなわれる場合もある。しかし、これらの食事療法を実施するためには、厳しい管理のもとで実施されるのでなければその効果があまり期待できない。