周生期と出産後における知的障害の原因

 

 児の出産の前後に種々の原因により知的発達障害をもたらすことがある。その主な原因は、仮死、低血糖、未熟児等がある。

 仮死(asphyxia)は、胎盤早期剥離や臍帯脱出および骨盤位分娩など分娩時の異常により生ずる胎児の酸素欠乏(anoxia)の状態をいう。症状としては呼吸障害、循環不全、神経症状を示すが、実際には、心拍、呼吸数、筋卜-ヌス、刺激にたいする反応、皮膚の色について採点するアプガー指数(Apgar score)にて仮死の程度を判定する。仮死に伴う無酸素症により中枢神経系の障害をひきおこし、そのために知的発達障害をもたらすことがあると考えられている。

 新生児期の低血糖は、母体の糖尿病、妊娠中毒症、未熟児、子宮内栄養失調症等によりおこる。低血糖症状があらわれ、無呼吸発作、チアノーゼ発作などが続くと脳の器質的障害をおこし、知的発達障害へとつながる。またなんらかの原因により先天的に異常をもち発達障害を示す症例では、低血糖症が合併しておこりやすいとされている。

 未熟児(低体重出生児)は、知能障害あるいは脳性麻痺等を示しやすいと言われてきた。しかし最近の周生期医学の進歩により未熟さに基づく障害はかなり減少してきたのである。むしろ、満期産未熟児(SFD : small for datebaby)のように出生以前にすでになんらかの障害があって、そのために胎内での発育が不十分である場合が多くなっている。しかし、低出生の未熟児が種々の合併症をおこしやすいために、その結果知的発達障害を示すこともありうる。

 以上のような周生期の異常を予防するためには、出生前からの妊婦の健康管理(特に妊娠中毒症、慢性疾患等をもつ妊婦)と出生時の管理、特に母子緊急医療システムの確立が必要である。

 出 生 後

 出生後、知的発達障害をおこす要因としては、感染症による二次性脳炎、中毒性疾患、物理的障害等がある。

 二次性脳炎とは、麻疹、水痘、風疹、流行性耳下腺炎、百日咳などの感染症後に脳炎をおこすもので、この脳炎後遺症として知的発達障害を示す。中毒性疾患では、出生後の有機水銀水俣病)、鉛などの中毒症、あるいは一酸化炭素中毒による原因があげられる。

 物理的障害では、外傷(交通事故、高所からのつい落など)や溺水事故などにより頭蓋内出血をきたし、それが知的障害の原因となることがある。