幼児期のことば

 

 1歳半~2歳頃には二諂発話が可能となる。この時点で、ことばはそれ自体で一応ひとり立ちが可能なシステムとなる。

 幼児期を通じて、子どもの利用できる諂い、統辞・文法的手段、音韻の範囲は質、量ともに飛躍的に拡大する。

 まず、諂いについては、一般に6歳までに3000~6000の諂いが獲得されるといわれている。品詞の出現順序は、まず名詞、次いで感動詞、動詞、副詞、接続詞、形容詞、数詞、代名詞の順であり、2歳頃にはすべての品詞が出そろう。諂いの構造分析(ここでは品詞分類による分析)によると、すべての品詞が出そろう2歳頃に出現頻度が最も高いのは名詞、次いで動詞、副詞、形容詞の順であるが、この構造は6歳頃になっても変わらない(村田孝次、 1983年)。

 次に、統辞・文法的側面についてである。

 幼児の構文発達には次のような段階がある。①一語文の発生(1歳~1歳半頃)、②二諂文の発生(1歳半頃~2歳頃)、③多諂文、従属文の発生(2歳頃~3歳頃)、④文章構成期の発生(2歳半頃~3歳半頃)、⑤就学前の構文(3歳半頃~就学前)(村井潤一ほか、 1976年)。

 一語文で使用できるようになった諂を文法にかなったしかたで結合させて、二諂文として使用する時期を経て、2~3歳頃になると、関係を示す助詞が使われるとともに、文の長さも二諂文、三語文と長くなり、従属文も使用されるようになる。文章構成期には、文と文をただ並べて述べるのみならず、接続詞を用いて文章を構成することができるようになる。3歳半~6歳頃には、一部の例外を除いて基本的構文が習得される。

 音韻については、3歳頃までに基本的な音韻が習得され、6歳までにはより困難な音韻、より複雑な音韻構造を含め、言語技能・習慣レベルでのその習得は完了する。楫音スキルの獲得順序を表7 -10に示す。

 以上のような言語発達の過程において、語を構成する個々の音節をとり出し(抽象)、その順序性を分析する行為、すなわち/サクラ/という語が/サ/と/ク/と/ラ/という音からなっていることを知る行為(音節分解、音韻抽象の行為)が4歳代で形成されるが、これは文字学習の基礎となる(天野清、 1970年)。