生化学的および神経学的EC効果

生化学的EC効果-シナプスの化学的伝達物質であるアセチルコリン(ACh)を分解する酵素、 AChエステラーゼ(AChE)の単位重量当りの値を、準自然環境(SNE)、 EC、 ICで比べてみると、ICに比べてECが、ECよりもさらにSNEで、 AChEの活性が低下している。総AChE活性でみると、ICに比べてSNEでは著しく上昇している。

 セロトニンドーパミンについて、単位脳重量当りの差は認められないが、全脳のノルアドレナリン(NA)と副腎重量がICで増えるという報告がある。副腎はストレスにさらされると大きくなるので、ストレスの指標とされるが、EC ・ IC の影響についての成績は不定で、ICでもECと変わらないことがある。皮質のNAはECで増えるが、同時にほぼ同程度、視床下部尾状核のNAが減る。ので、全脳としてはEC ・ IC 差がなくなる。

 核酸も飼育環境による変化を示し、ECラットの皮質で総RNAはICより増え、 DNAは減る。ECの後頭皮質でRNA/DNA比は大きくなる。ECからICに移すと、この比は速やかに低下するが、皮質重量やAChE活性はECの特性を保ちつづけている。

 乳酸脱水素酵素(糖質代謝にかかわる)の活性がEC群の皮質で高くなり、SH基(物質代謝、成長などにかかわる)も増えることがわかった。皮質の夕ンパク質もECで増加する。

 c 神経生理学的EC効果-バークレイグループや、そこに留学した人びとに神経生理学者がいなかったこともあって、この方面の研究が一番おくれている。脳波やニューロン活動にかんする研究はいまだに見当らない。 EC、ICにおいたあとで後頭部の視覚領皮質に慢性電極をうえこんで、閃光刺激にたいする誘発電位をみると、ECの平均潜畤56msecにたいしてICでは64msecで、EC群に有意の短縮がみられる。視覚的に豊かな刺激環境(視EC)と、聴覚的なECとコントロール(sc)の3群を比べると、視覚誘発電位の潜時は視EC群で最も短くなるが、聴EC群では聴覚誘発電位の潜時に短縮はみとめられないという。

 閃光刺激にたいする視覚誘発電位の振幅が、ICよりECで大きくなり、 ICより高い周波数の閃光刺激に反応が追随する(flicker driving)とソ連の研究者が報告しているが、有意性の検定についての記載がない。