EC効果、IC効果

 

 なんらかの指標についてEC、あるいはICの効果をみるさいに、初期の研究では両極端のECとICの2群のみについて、ICを対照群としてEC効果と称していた。これは正確にはEC ・ IC 差とでも呼ぶべきものである。EC効果、あるいはIC効果は、 sc (いわゆる正常コントロール)と比較することによって明らかになる。ふつう、EC効果=100×(EC-SC)/SC、IC効果=100×(IC-SC)/SCとして、SCとの差を%で表示している。この結果、離乳(21~25日齢)から開始したときには主としてIC効果が、2ヵ月齢くらいから始めたときには主としてEC効果の生じることがわかった。すなわち、幼弱期には遮断・隔離効果をうけやすく、2ヵ月齢くらいになるとIC効果が小さくなって、ECによる発達促進効果が大きくなると、大まかには言うことができる。

 ただし、一般にたいていの指標でSC値はECとICのあいだにくるが、EC-SC間、 sc - IC 間には有意差がなく、EC-ICの両極端のあいだには有意差が見出せるということがある。このときは、 EC (またはIO効果は有意ではないと言わざるをえない。

 飼育期間

 1962年の最初の報告では、離乳から80日間、ECとICにおいている。その後わかってきたことだが、長期間こういう条件下におくと馴れが生じてきて、効果がかえって小さくなるという考え、そして当然のことながら、類似の成績が得られるものならば、短期間の方がよいということから、離乳時にふり分けて、各条件下で30日間というのが一つのパタンとなった。なかには160日間つづけた人もいる。

 最近のこの方面の研究における方向の一つは、 EC (あるいはIC)効果を生じる最短期間はどれはどか、成長した個体あるいは老齢に近い時期から開始しても脳に同様な可塑性が見出せるものかという興味であり、一応の解答が出ている。ラットとマウスでは若干の違いがあるようで、たとえばマウスの脳の大きさを指標としたEC効果は、30日間より80日間の方が大きく出ると言われている。

 実験動物

 ローゼンツヴァイクらがECの実験を始めた1953年に用いたラットは、Tryonが迷路学習のスコアの優劣から遺伝的に分離した系統だった。のちにはRCH (皮質のコリンエステラーゼ活性が高い)、 K (SiとS3を交配させた子孫)、 Long-Evans、 Wistar、 Sprague-Dawley、 Fischerなどの代表的な系統のラットが用いられ、効果の普遍性が示唆された。

 さまざまな系統のマウス、ハムスター、スナネズミ、アレチネズミ(Mongoliangerbil)などでも類似の効果が認められている。雄の使われることが多いが、雌についても同様な効果が知られている。