HLA不一致の血縁者間移植

 

 移植と化学療法をどのように組み合わせるかを全体的な視野で想定してみます。M一・M2の患者さんが一〇〇人いて、九〇人が寛解に入ると仮定して、移植時に寛解中の八五人のうち近親者にドナーのいる二一人には第一寛解期に同種骨髄移植をし、一七人(八〇パーセント)が成功、治癒します。約六三人にはベストの化学療法で四八人治癒し、あわせて生存は約六五人ということになります。再発後の移植成功を含めても六五パーセントでしょう。骨髄バンクでドナーが見つかるようになれば、寛解の患者八〇人以上に移植をすることになり、これは移植の施設の関係から不可能でしょう。

 

 今度は第一寛解期には移植をしないで、不幸にも再発して第二寛解期になってから移植をする-ということでシミュレーションしてみます。

 

 第一寛解期の移植はゼロです。再発してからの移植をするということになりますと、寛解後再発二〇人、第二寛解二天として、同種移植が三人で二人が治癒。化学療法で六五人が寛解持続し、合計すると全体の治療成績は七一パーセントと、第一寛解期の移植をするときよりも全体の成績は向上することになります。

 

 ですから今のところ、子どもの急性骨髄性白血病のM一・M2の患者については、化学療法で十分な治療をするということに専念して、それでも化学療法で救えない患者さんに対して骨髄移植をする、という考え方が成り立つことになります。同様に子どもの急性骨髄性白血病のM4・M5について、第一寛解期に積極的な骨髄移植を行った場合の成績は約四五パーセントです。

 

 一方、移植は第二寛解期に行うとすると、得られる結果も同じ四五パーセントという成績が数字の上ではでてきます。ただし、骨髄移植には全身放射線照射の合併症や、GVHDなどの副作用も含めた総合的な評価が必要です。

 

 さて、次はHLAミスマッチの話に移りたいと思います。アメリカのシアトルで、血縁者間で二八一人の白血病患者に骨髄移植が行われた統計を見てみます。ドナーは兄弟姉妹が一一九人で、親からが一三七人、子どもからが一一人、その他が一二人です。

 

 このうちHLA型が完全に一致しているのが二九人で、HLA型一座不一致が一〇四人、HLA型二座不一致は一〇四人、三座不一致が二九人という家族内で骨髄移植を行いました。その結果を、急性GVHDの発症を見てみますと、HLA一致の血縁者間では三ハパーセントなのに対して、一座不一致では六ハパーセント、二座不一致では七七パーセント、三座では八五パーセントと、不一致の場合にはGVHDが増強しています。これを五年生存率で治療成績を見てみますと、HLA一致同胞が四七パーセントに対して表現型一致が五〇パーセントで、HLA一座不一致は四六パーセントと、ほぼ匹敵する成績がでています。

 

 このように、家族内のHLA一座不一致までの提供者をまず探すことも無駄ではないし、一人二万数千円もの費用がかかりますが、可能ならばHLA検査を血縁者内でやってドナーを探すのも、一つの方法です。

 

   * 表現型の一致―兄弟のように遺伝的に一致しているのではなく、親子などで偶然に一致しているもの。