潰瘍性大腸炎:若い層に増えている難病

 

薬の選択、投与量の決め方が重要

 

●軽快、再燃を繰り返す

 

 潰瘍性大腸炎厚生労働省が指定する難病の一つだ。慢性の炎症性腸疾患で、ひどいときは一日に十数回も血の混じった下痢をし、腹痛や発熱を伴う。発病すると、大腸を切除しない限り完治しないので、患者数は年々増えている。二十代をはじめ若い人に多く、五十代にも小さなピークがある。男女差はない。

 

 大学生の島田祐介さん(仮名、二十二歳)は一九九四年の暮れから一日六、七回も下痢をするようになった。左下腹部が差し込むように痛み、便に血が混じっていた。「初めは痔かなと思いました。あるいは腹痛や下痢を起こす風邪もはやっていたので、それかなとも。年末で、かかりつけ医も休診。一週間ぐらい市販の整腸剤を飲んでしのぎました」

 

 年明け早々に診察を受けたら、「風邪でしょう」と薬を出してくれた。それを五日間飲み続けたが、よくならないため消化器専門病院を紹介された。そこで血液検査を受けた段階で「潰瘍性大腸炎にほぽ間違いない」といわれた。

 

 まず、抗炎症作用のある潰瘍性大腸炎治療薬の一つ、サラゾスルファピリジン(商品名サラゾピリン)という飲み薬を処方された。これが劇的に効き、翌日にはほとんど症状がなくなった。

 

 一週間後に受けた内視鏡検査の結果、「左側大腸炎型」の潰瘍性大腸炎と確定診断が出た。 「最初は病名も知らなくて、大変な病気とは考えませんでした。本には難病とか甘く見てはいけないとか書いてある。でも、薬ですぐよくなったので、なぜ、これが難病なんだろうと……」

 

 島田さんは下痢、血便から解放され、勉強とクラブ活動に精を出した。好きな物を食べ、酒を飲み、友人と旅行して駅のベンチで寝るなど、大学生らしい生活を送っていた。サラゾピリンを服用し続けるよう指示されていたが、飲み忘れることもあった。

 

 こうした寛解期(軽快期)が二年ほど続き、病気のことなど頭から消えていた九七年、異変が起こった。軽快、再燃を繰り返すのが、この病気の特徴なのだ。

 

 その後の苦闘を島田さんに振り返ってもらった。▽この年の二月、一日に三回ほど強烈な便意に襲われ、排便すると出血した。大学では大事な実験が続き、リポート執筆やクラブ発表会も重なって、疲労も影響したようだ。薬をきちんと飲むように心がけて頑張る。

 

▽新学期に入り、処方されたベタメタゾン(商品名リンデロン)というステロイドの座薬を併用したら症状が少し落ち着く。体をだましだましの生活が続く。

 

▽医師の勧めもあって、九月から大学を休み、自宅療養。しかし、出血を伴った下痢が毎日四、五回起こるので、十月に十二日間の検査入院。肛門から造影剤を入れてのX線撮影と内視鏡検査の結果、潰瘍はあるが、重くないことがわかり退院。

 

▽ところが、その夜から、いままでにない強い腹痛が起こり、日ごとに悪化。四日目には体を

 

 「く」の字に折り曲げなければいられなくなり、再入院。すぐにステロイド薬のプレドニゾロンを点滴(静脈注入)したが効果なし。四週目からそれまでの低残渣食(食べたあとの消化吸収が非常によい食品)もやめて絶食し、高カロリー輸液で栄養補給。それでも症状は悪化する一方。腹痛がおさまらず、粘血便が日に十数回も出る。夜はとくに症状が強く、眠れない。

 

▽十二月初め、潰瘍性大腸炎の経過をみる指標の一つ、CRP(C反応性蛋白。急性の炎症などがあったとき血清中に増える蛋白)が・・・もあった。両親が呼ばれ、「腸管穿孔(腸に穴があくこと)の危険もあるので、緊急手術に対応できる病院に移ったほうがいい」と告げられた。三日後に国立国際医療センター(新宿区)に転院。