虫蝕状皮膚萎縮症、口囲放射状瘢痕、陰茎・陰門萎縮症

 

虫蝕状皮膚萎縮症atrophodermia vermiculata 〔Darier 1920]

 

   両頬・頬骨部にほぼ左右対称性に、虫蝕状の点状~網状の小陥凹が多発。組織学的に毛孔開大、毛孔性角化、角質嚢腫、脂腺萎縮、弾力線維の巻絡消失。顔面播種状粟粒性狼癒消退後の小瘢痕に似るが、炎症の先行共存はない。毛孔性苔癬を伴うことが多い。

 

 

口囲放射状瘢痕cicatrices periorales radiales 〔Nob凵933〕

 

 口囲の放射線状線状瘢痕で、湿疹・膿疱疹などに続発。幅1~2 mm、長さ数cmまでの線状凹溝で、口角から下口唇にかけ、ほぼ左右対称性、口囲皮膚のみを侵し、唇紅に及ばない。これに対して梅毒性のハロー凹溝[Erp。615]は上口唇にも生じ、唇紅にまで及び、さらに横走交互するものもある。

 

 

多形皮膚萎縮症poikilodermia

 

 皮膚萎縮、色素異常〔色素沈着および脱失〕および毛細血管拡張症の混在する、汚穢な状態をいう。ときに苔癬様小丘疹・微細鱗屑・小出血点を伴う。

 

 1)シバット型poikilodermie reticulee pigmentaire 〔Civatte〕:リール黒皮症とほぼ同義(Eyp。1061。

 

 2)ヤコビ型poikilodermia vascularis atrophicans 〔Jacobi 1906〕:網状の色素沈着、皮膚萎縮、脱色、毛細血管拡張、粃糠様落屑、小出血点などより成り、独立疾患というより、各種疾患の末期状態の症状名と考えた方がよい。基礎疾患としては、皮膚筋炎(poikilodermatomyositis)、進行性強皮症(poikilosclerodermia)、 SLE、菌状息肉症〔紅皮症型末期〕、悪性リンパ腫、萎縮性慢性肢端皮膚炎、リンパ肉芽腫症、扁平苔癬、苔癬状類乾癬、湿疹続発性紅皮症、 Thomson症候群、慢性放射線皮膚炎、色素性乾皮症などがある。

 

 

 

 piezogenic pedal papules 〔Shelly-Rawnsley 1968〕

 

   立位にて足底とくに踵に弾性軟、正常~淡黄色、5~10mmの半球状丘疹が数個から数10個生ずるもの。ときに疼痛あり。真皮菲薄化かあり。立位〔圧迫〕により皮下脂肪組織がヘルニア状に突出する。圧迫がとれると消失する。

 

 

 

陰茎萎縮症kraurosis penis 

 

   中高年男子の亀頭・包皮内板の硬化性萎縮で、高度の場合は尿道狭窄を来す。閉塞性乾燥性亀頭炎(balanitis xerotica obliterans Stiihmer)とほぼ同義。

 

 

陰門萎縮症kraurosis vulvae 〔Breisky 1885〕

 

   閉経後女子の外陰部に徐々に進行する皮膚粘膜の硬化と萎縮。炎症と 痒とを伴い、小陰唇・陰核の消失、大陰唇の縮小、腟口および尿道口の狭窄を来す。卵巣機能低下と関係ありとされる他、老人性萎縮、白色角板症をも含める総括名ともなされている。

 

 陰茎・陰門萎縮症は硬化性萎縮性苔癬との異同が論ぜられる一方、両性性器に発した萎縮性病変の総括名にすぎないのでこの名は抹消した方が良いという傾向が強い。