ストレスがたまると肝臓に脂肪がたまる

 

 働きすぎの病気で見落としやすいのは脂肪肝です。一般の人も医者も脂肪肝はごちそうのとりすぎと思っています。健康診断で脂肪肝を指摘されると、同時に飲みすぎ、食べすぎを注意されます。しかし、脂肪肝の人の六、七割は食べすぎもなく肥満もありません。働きすぎや心の悩みで脂肪肝ができることを私は見出しました。

 

 生物は進化によって多くの新しい器官を上乗せしてきましたが、ストレスによって「先柤がえり」をすることがあります。そもそも、下等な生物の多くは糖(グリコーゲン)だけではなく、脂肪も肝臓で溜めていたのです。アンコーの肝(キモ)、イカの肝(ゴ巳を思い出してください。脂(あぶら)がのっていておいしいのは、まさにここに脂肪が溜められているからにほかなりません。

 

 生物が恒温動物に進化して体温を一定に保つようになってから、脂肪は肝から皮下に移されたのでしょう。しかし、ストレスが加わると先柤がえりして元に戻ってしまいます。肝に溜めた脂肪は活性酸素を吸収して肝を守り、また、肝細胞を再生するための栄養として使われると思われます。したがって、脂肪肝を治すには働きすぎがないか、悩みをかかえ込んでいないかに注意し、それを改善する必要があるのです。そうすれば、約一週間で治癒してしまうでしょう。脂肪肝の場合、組織破壊が起きているわけではなく、機能的な破綻にすぎませんから、アっという間に治ります。

 

 働きすぎのストレスは、動脈瘤破裂によるくも膜下出血を引き起こすことがあります。血管は主に脊椎動物になってから進化していますが、もともと白血球と同じようにマクロファージから進化しています。白血球を通すために自らも管になったのです。今でも血管内皮細胞はマクロファージや白血球のように異物を飲み込む性質を保持しています。激しいストレスが続くと、血管は先柤がえりをして竹であることをやめようとします。このため脳の血管が弱くなり、動脈瘤をつくります。そして、破裂することもありうるのです。

 

 

安保徹の病気を治せる医学』より