免疫系の破綻をまねく原因

 

 免疫系と貪食系は自律神経系の働きによってリズムをつくりますが、これらの働きは生体にとって有利な適応反応と考えられます。交感神経優位の活動の活発なときは手足が傷ついて細菌が侵入しやすいので、細菌処理に優れた顆粒球を準備しておく、逆に、副交感神経優位の消化管を働かすときは、消化酵素で分断された異種たんぱくやウイルスなどの微少抗原が侵入しやすいので、これらの処理にすぐれた、つまり進化したリンパ球を準備しておくというわけです。

 

 また、交感神経と副腎系の働きが強く刺激されると内部監視のシステムに切り替わるのも、生体に生じた異常自己を速やかに除くための有利な反応と思われます。しかし、この切り替えが不可逆的な場合は、自己免疫疾患へと進むことになります。このとき、ステロイドホルモンが治療に使われていますが、離脱なしの長期使用は、このホルモンの作用が免疫抑制であるがゆえに、疾患の難治化をまねく原因にもなると思われます。

 

 自律神経系のリズムの一方への偏りで起こる破綻もあります。①交感神経刺激の持続↓顆粒球増多↓組織破壊と、②副交感神経刺激の持続↓リンパ球増多↓アレルギー、です。①の原因として働きすぎ、心の悩み、消炎鎮痛剤(NSAIDS)の長期使用があげられます。②の原因として排気ガス吸入、有機溶剤の吸入、過保護、運動不足、肥満、甘いもののとりすぎがあげられます。②の場合はリラックス過剰の体調がストレスに弱くなり、ストレスを引き金として炎症が発症します。

 

 免疫システムは複雑系の極限ともいうべきものですが、巧妙な調節系も存在します。私たちの生き方や外部環境によって調節系が不可逆的になると、この複雑系もついには破綻をきたすのでしょう。