白血病と風邪治療の危険な関係

 

 内外の研究者からときどき白血病の集団発生が報告されています。これと同じように虫垂炎の集団発生もよく知られています。まず虫垂炎の集団発生の理由を述べます。

 

 虫垂はおなかの扁桃と呼ばれているように、リンパ球のびっしり詰まった免疫臓器です。つまり、風邪をひいてのどがやられるように、虫垂も風邪ウイルスに感染しているのです。カタール性の虫垂炎電子顕微鏡でみると上皮細胞にウイルスがさかんに感染しているのがわかります。アデノウイルスエンテロウイルスなどです。

 

 リンパ球とウイルスの戦いは副交感神経症状を出すので、はじめにサラサラした分泌物が多量に出ます。これをカタール性炎症といいます。後に、プロスタグランジンが出現し、発赤、発熱、痛みが出現します。フルグモーネ性炎症です。

 

 ふつうはこの段階で炎症は終わりますが、生体に無理などが加わると顆粒球が増加し常在菌と反応して化膿性の炎症を引き起こすこともあります。もっと悪化したのが壊疽性虫垂炎です。外科手術による摘出が必要となります。

 

 このような予備知識をもって、白血病の発症メカニズムに挑戦します。白血病が集団感『染するのは、やはり風邪ウイルスが引き金だと思います。実際、白血病患者は風邪と同じ症状で発症してきます。風邪が長引いた形で発見されることが多いのです。

 

 では、なぜ風邪が白血病に進展するのでしょうか。ひとつは、ある偶然の頻度があって発症するものと思われます。しかし、ここで不思議な現象に出会います。白血病にはリンパ性白血病と骨髄性白血病がありますが、子供や若い人に多い急性リンパ性白血病が、ほかの白血病とは異なり先進国で増加し続けているのです。

 

 急性リンパ性白血病は進化したT細胞やB細胞ががん化したもので、いわゆる進化レベルの高いリンパ球のがん化です。この進化したリンパ球は、そもそもウイルスなどの外来抗原を認識して排除するための免疫系です。

 

 まず風邪ウイルスの感染は、これら進化したT細胞やB細胞を刺激し活性化します。そして、通常は戦いが終わり自然に治癒に至るわけです。しかし、先進国では発熱を抑えようとして解熱鎮痛剤(解熱剤)を使う傾向があります。最近では、インフルエンザ脳症などの危険が知られるようになり、解熱鎮痛剤の投与は減少していますが、まだまだ風邪に使用することは多いのが実情です。

 

 解熱剤による体温の下降は血流を止め免疫系を抑制することでもあるので、ウイルス感染が長引き白血病に移行する頻度が高まると思われます。

 

 さらに、市販の風邪薬に入っていることはありませんが、抗生物質が問題です。風邪で病院に行った場合、予防のためと抗生物質を添加して風邪薬を出す医師が少なからずいます。これが大いなる危険を呼びます。

 

 つまり、予防的に出された抗生物質が腸管の細菌叢を減少させます。顆粒球のレベルは腸の細菌叢の刺激で保持されているので、抗生物質の投与で顆粒球は減少し、リンパ球増多に拍車がかかります。白血球の増多は超白血病反応とも呼ばれますが、これの極限で白血病化か起こっているものと思われます。

 

 先進国、それも風邪でもよく病院に行く家の子供に白血病が多い、あるいは医者の子供に白血病が多いという印象をもつ医師がいるのは、このような理由によるものと思われます。間違った医療は、白血病の頻度を上昇させるおそれすらあるようなのです。

 

安保徹の病気を治せる医学』より