利尿剤は循環障害を強めてしまう

 

 利尿剤は多くの病気に何気なく使われています。そして、それが患者を破綻に追いやることになるとは、これまで知られていませんでした。

 

 むくみは、いろいろな原因で起こります。たとえば、腎障害、心不全、がんの末期、激しい疲れなどです。これらには共通の病態があります。それは循環障害です。私たちは血流が十分でないと体液を循環系に引き込めなくなります。このため、むくみが生じるのです。緑内障は目の房水のむくみです。

 

 もし、むくみをとろうとして利尿剤が投与されると、患者にはなにが起きるでしょうか。激しいのどの渇きと頻脈です。これは脱水が起こり、循環障害がさらに強くなった病態と捉えることができます。医者や患者自身の期待に反したことが起こっていたのです。

 

 腎不全の人は尿毒症に移行し、心不全の人はさらなる悪化に至り、緑内障の人は失明へと進むことになります。とくに、がんの末期で腹水や胸水がたまった人に利尿剤が投与されると、急に患者は病態が悪化します。多くの医師は経験的に知ってはいたことですが、そのメカニズムにたどりっけなかったために、同じ誤ちをくり返していたのです。

 

 循環障害や腎不全から死に至るのは、海や山での遭難です。飲用水の欠乏のため血液がしだいに濃くなり、循環障害が生じます。そして、血流不全にいちばん感受性の高い腎がやられます。これらの病態を医療行為でつくっていたのが利尿剤といえるのです。