アメリカ白人にとってよいことが日本人にもよいわけではない

 

 

 寒冷地適応した民族が温暖な地に移住すると、ストレスが少ないために副交感神経優位のゆったりとした生き方になります。ゆとりのある生き方といってもよいでしょう。しかし、この状態が長く続くと肥満する傾向が出てきます。この防止策がアメリカ白人の生活パターンの特徴となっていると思われます。

 

 アメリカ白人は日光浴が大好きです。紫外線に長く当たると疲れるし、ついには消耗することにもなります。この交感神経緊張によって、アメリカ白人は過剰なエネルギーを消費しているのです。夏は空気が温められ上昇するため、低気圧ぎみです。あとで述べるように、気圧が低いと副交感神経優位になりやすいので、とくに熱心に日光浴する必要があるのでしょう。

 

 私は留学してアメリカ合衆国アラバマ州バーミン(ム市)で五年間を過ごしましたが、スーパーマーケットに巨大な肉塊が売られているのには驚きました。日本人の私の家族でも一週間に一~二回は牛のステーキを食べていたので、アメリカ白人の肉食習慣を小規模にして暮らしていたことになります。このような肉食は副交感神経過剰体質から逃れるためには大切なことと思います。肉食は菜食に比べて消化吸収に時間を要しないので、副交感神経を長く使う必要がありません。消化管の働きは副交感神経によっているからです。野性の動物でも肉食動物はどう猛で草食動物は穏やかです。

 

 アメリカ白人のスポーツ好きは念が入っています。彼らは、よその国に旅行してもシューズを履いて走っているではありませんか。スポーツジムに通う習慣もアメリカから日本に入ってきたものでしょう。これらのことも過剰なエネルギーを消費して副交感神経優位体質から逃れるためには必要なことであったのでしょう。

 

 また、アメリカ白人はアスピリンをよく利用します。アスピリンや、バイアスピリンのような消炎鎮痛剤は、プロスタグランジン産生を阻害して血管を収縮させ、血圧を上げて交感神経を緊張させます。とくに、すでに肥満が進んだ人にとって、運動するのはしんどいことです。運動せずにおいしいごちそうを食べ続けるためには、アスピリンを飲んで代謝を上げる必要があるというわけでしょう。アスピリン好きの理由は、やせ薬としての働きを期待してのことと考えられます。

 

 アスピリンは、血栓予防の効果があるといわれています。日本でも、狭心症脳梗塞などの予防薬として、病院で服用の指示が出されることがあります。しかし、アメリカ白人に対する効果を、そのまま日本人に当てはめようとするのはたいへん危険な考えです。

 

 交感神経の緊張は、血栓をつくるもとになる血小板を増やします。アメリカ白人はもともと副交感神経優位の体質ゆえに血小板は少ない人種ですが、肥満が強まると交感神経緊張に傾き、血小板が増加します。けれど、やせればもとの副交感神経優位の体調に戻り、血小板も減少します。だから、肥満対策として飲まれるアスピリンが、血栓予防にもなるのです。

 

 しかし、肥満のない日本人にとっては、交感神経を緊張させるアスピリンは、直接ストレスとして働くだけです。血小板増加が起こり冠動脈が収縮して、心疾患が治癒するどころか、むしろ悪化因子となる危険性が高まります。脳梗塞狭心症の予防薬としては禁忌といえるのです。

 

安保徹の病気を治せる医学』より