消炎鎮痛剤の乱用が苦しみながら暮らす老人をつくる

 

 今の日本はせっかく寿命が延びたのに、からだの不調に苦しみながら暮らす老人が多いようです。郊外の診療所の外来は、いつも老人の患者であふれています。腰痛、不眠、疲れやすいなど悪いところだらけです。一方では、健康で穏やかに暮らす老人も多くいます。

 

 この分かれ目は、体操や運動をして十分からだを動かしている人と、運動せずに筋力低下に陥った人の違いから起こると思われます。筋力低下に見舞われた老人は、筋疲労から回復するときに治癒反射が起こり、痛みが生じます。がまんしきれなくなって病院に行くと、消炎鎮痛剤(痛み止め)が処方されます。これを境に、本格的な腰、肩、ひざの痛みが形成されていくのです。

 

 痛みは筋疲労からの回復反応として起こっているのに、痛み止めを処方されるとこの反応が抑制されてしまいます。内服薬でも湿布薬でも、坐薬であっても同じことです。湿布膜から吸収されます。注射や点滴で痛み止めを入れられて、病気がどんどん進行してしまうこともあります。

 

 消炎鎮痛剤は交感神経緊張で痛みをとる薬なので、脈が速くなり、いつも疲れた状態になります。興奮の体調でもあるので、不眠、糖尿病、白内障、不安などの症状が加わり、次々に薬が追加されていきます。これが苦しみながら暮らす老人の実態なのです。

 

 薬をすべてやめて体操や軽い運動をおこなうと、破綻された組織に血流が回復し始め、しだいに病気は治っていきます。とくに注意が必要なことは、消炎鎮痛剤をやめると、いったん回復反応が強く起こり、痛みや発熱、発赤で、腰痛やその他の症状がひどく悪化することです。これを通り越さないと病気は治癒に向かいません。二、三日で峠を越すので、楽しみにして痛みに耐えてほしいと思います。

 

 結論を申し上げましょう。痛みのきっかけは自分自身のそれまでの暮らし方にあっても、本格的な病気にしているのは間違った治療です。間違った治療をさけ、楽しい老後を送ってほしいと思います。

 

安保徹の病気を治せる医学』より