亜鉛欠乏症候群

 

腸性肢端皮膚炎acrodermatitis enteropathica 〔Danbolt-Closs 1942〕

 

 〔症状〕

 

 1)四肢末端および開口部〔眼囲・鼻孔・口囲・耳孔・肛囲・外陰〕〔機械的刺激の加わり易い部位〕に丘疹・小水疱・膿疱を伴う紅斑を生じ,やがてびらん結痴し,環状鱗屑で乾癬あるいは脂漏性皮膚炎に似た像を示す.これが反復し,次第に体幹部も侵す.爪変形・爪囲炎・脱毛をきたす.脱毛は100%にみられ,後頭・側頭に初発し,全頭毛・眉毛・睫毛・毳毛にも及び,残存毛は赤毛様となる.6歳までの幼児を侵す.離乳期頃に発症することが多く〔生後8~9月〕,増悪軽快を反復する.

 

 2)下痢・嘔吐.

 

 3)増悪期に精神障害[無感情・愚鈍状態].身体発育遅延を来すことあり.

 

 〔検査所見〕①血清亜鉛低値〔正常60~130μg/顔,②血清アルカリフォスファターゼ低値〔亜鉛値と相関〕.

 

 〔病因〕

 

 1)常染色体性劣性遺伝の亜鉛欠乏症〔狭義腸性肢端皮膚炎〕.

 

 2)後天性:経中心静脈栄養〔高カロリー輸液〕,無乳糖ミルク〔1983年,調整粉乳に亜鉛・銅の添加が許可されてから,これによる発症はなくなった〕,低亜鉛母乳,未熟児〔出生時体重1500g以下〕,神経性食思不振症,肝硬変を伴う慢性アルコール中毒,消化管切除後,ペニシラミン内服,わが国の報告約120例.中心静脈栄養が最も多く〔56%〕,消化管切除・下痢・消化不良が次ぐ.

 

 〔治療〕 硫酸亜鉛1日200~400mgを食直後に内服,1週で皮疹は軽快し始め下痢は止り1ヵ月で全症状は消え,再発毛,体重正常化をみる.遺伝型では200~400mgで始め,正常化と共に間歇投与[200mg 4日,次いで10日休薬]で生涯続ける.

 

 

Sitle Memo

 

亜鉛代謝:1日必要量,<6ヵ月3 mg/日,6~12ヵ月5 mg. 1~10歳lOmg,年長児~成人15mg.小腸とくに十二指腸より吸収され,蛋白・アミノ酸等と結合して運搬され,組織に亜鉛結合蛋白として存在,亜鉛の金属酵素は60種以上あり,核酸・蛋白・糖代謝,さらに内分泌,細胞性免疫に深く関係する.食品では肉・海草・豆・甲殻類に多く含まれる.