電解質代謝異常

 

1.皮膚石灰沈着症calcinosis cutis

 

 A.転移性石灰沈着症calcinosis metastatica

 

 過カルシウム血症〔副甲状腺腫瘍,ビタミンD過剰症,牛乳やアルカリの摂取過剰,サルコイドーシス,骨髄炎・骨転移・骨髄腫による骨破壊]または過燐酸血症(慢性腎疾患…腎性くる病(renal rachitis)〕のさいに生ずる.酸を分泌する臓器では,炭酸ガス圧が下がって石灰溶解度が低下し,石灰沈着を来しやすい〔胃・腎・肺・筋〕.皮膚・皮下への沈着はまれ.

 

 B.代謝性石灰沈着症calcinosis metabolica

 

 全身性代謝障害はなく〔血中Ca, P値は正常〕,主として皮膚・皮下,まれに筋・腱に生ずる. PSS ・ 皮膚筋炎に併発することが多いが,異物肉芽腫・稗粒腫・脂肪織炎・注射部位・血管腫・黄色腫にも続発する.

 

 C.特発性石灰沈着症calcinosis idiopathica : subepidermal calcified nodule ,特発性陰嚢石灰沈着症〔陰嚢に大小の黄褐色小結節,真皮中層に石灰沈着し被膜はない,肥満細胞がヘパリチン硫酸などAMPSを放出してこれに石灰沈着を来したものか].

 

2.ヘモク囗マトーシス(血色症) haemochromatosis〔Recklinghausen 1889〕

 

 〔同義語〕青銅糖尿病bronze diabetes

 

 〔症状〕

 

 1)皮膚症状[90%以上]:褐~青銅~青~灰色のびまん性色素沈着〔ヘモジデリン・フェリチン・メラニン沈着による〕,皮膚萎縮と乾燥化,疎毛化〔腋毛・須毛・陰毛〕.

 

 2)肝硬変〔90%以上〕:生検で肝細胞に鉄沈着,線維化[診断価値大].

 

 3)糖尿病〔80%〕.

 

 4)その他:関節痛・全身倦怠感一体重減少・腹痛・性欲減退・末梢神経炎・精神障害・牌腫・心不全.

 

 〔予後〕心不全・肝癌が死因となる.

 

 〔病因〕鉄代謝異常症.

 

 1)先天性[常染色体性劣性]:小腸の鉄吸収の亢進.

 

 2)続発性:①鉄過剰摂取〔アフリカ・バンツー族,ワイン,鉄剤投与〕,②鉄キレート剤,③頻回の輸血,③その他〔悪性貧血・アルコール性肝硬変など〕.

 

 〔治療〕①瀉血[週500ml, 1~2年],②鉄キレート剤,③障害臓器の対症的庇護とくにアルコールの禁止.