2014-05-27から1日間の記事一覧

知的発達障害の早期発見

知的発達障害児の早期発見の意義は、フェニールケトン尿症のような治療可能な疾患を発見し治療を行なうことによって障害の発症を予防することとともに、たとえ、病理的障害そのものを治療できないとしても早期からの治療教育(早期療育)により発達を促進さ…

知的発達障害の医学的診断

知的発達障害の医学的診断の目的は、次のような三点にある。 第一の目的は、知的発達障害があるか否かを明らかにすることである。これはもちろん医学的診断だけでなく、心理的発達診断なども含めて子どもを総合的に診断する必要がある。 第二の目的は、障害…

周生期と出産後における知的障害の原因

児の出産の前後に種々の原因により知的発達障害をもたらすことがある。その主な原因は、仮死、低血糖、未熟児等がある。 仮死(asphyxia)は、胎盤早期剥離や臍帯脱出および骨盤位分娩など分娩時の異常により生ずる胎児の酸素欠乏(anoxia)の状態をいう。症状と…

知的発達障害の生物学的要因:胎 生 期

卵子と精子が受精し細胞分裂を重ね、妊娠3ヵ月までにはほぼ身体の器官が形成される。この間を胎芽(embryo)期とよび、その後妊娠3ヵ月以降出生までの期間を胎児期とよぶ。胎芽期に薬剤などの化学物質、母体のウィルス感染、放射線照射により身体の形態や機…

ことばの理解と失語症

語や文を理解する過程は、記号としてのことばの背後にある意味を解読する過程である。 語は多義的である。したがって、語を解読するためには、いくつかの語義のなかからそこで用いられている意味を選択しなければならない。 語の正しい意味選択を妨げる要因…

信号系と言語

犬にたいして、ペルの音に伴って食物を与えるということをくり返すと、やがてベルの音を聞かせるだけで、食物を口に入れた場合と同様に唾液が分泌されるようになる。この分泌反応を条件反射と呼び、ベルの音を条件刺激とよぶ。ここで、ペルの音は、次に食物…

音声の知覚過程

音声知覚過程を便宜的に分解してみると次のようになる。 音声のなかで果たす役割についていえば、母音と子音とでは異なる特徴をもつ。 音声のリズム、小ントネーション、個人性、情緒性、方言の違いなどの情報はほとんど母音によって担われており、したがっ…

幼児期のことば

1歳半~2歳頃には二諂発話が可能となる。この時点で、ことばはそれ自体で一応ひとり立ちが可能なシステムとなる。 幼児期を通じて、子どもの利用できる諂い、統辞・文法的手段、音韻の範囲は質、量ともに飛躍的に拡大する。 まず、諂いについては、一般に…

乳児期:ことぱ獲得の準備期

(1)ことばの三つの機能 ことばは、コミュニケーションの基本的手段であると同時に思考の道具であり、さらに行動の最も本質的な調節手段の一つである。個人差はあるにせよ、一般に子どもは満1歳の誕生日を迎える頃ともなると、音声を用いて自分の要求を伝え…

音声の物理的性質

「話しことば」の意味的符号(信号)としての役割を担うのは、音声の音響的・物理的性質である。人間の聴取可能な音響的世界としての聴野のなかで、話しことば(音声)は、そのもっとも中央の最適な範囲を占める。 語音を構成する周波数成分はかなり複雑であ…

発声発語の神経支配

我々の語音は、肺から送り出された呼気流が声帯の振動によって音声(原音)となり、それが声道で共鳴されたうえで外界に放出されたものである。 したがって、発声の機構は、(イ)声の動力源としての呼吸器、圜声の音源としての喉頭(声帯)、卵声の共鳴器と…

発声器官、構音器官

人と人とのコミュニケーションにおいてきわめて重要な役割をになう音声言語の生成過程は、発声(phonation)一音源の生成一一と構音(または調音articulation)の過程とに大別される。 発声は、肺から送り出された呼気流が、喉頭にある声帯の間隙(声門)を通過…

発達障害児の刺激療法

まったく臨床的な、あるいは療育的な立場から、エンリッチメント・プログラム(E。P。あるいは、早期刺激療法)を発達障害児に適用する問題について、さいごに触れておこう。いうまでもなく、これがわたしたちの目的である。 ラットを主とするげっ歯類の脳と…

実験的小頭症

EC効果がとくに後頭皮質に著明にみられることはすでに述べた。後頭部には視覚中枢があることから、視覚入力がEC効果をもたらしているのではないかということが当然考えられる。そこで両眼を出生直後に摘出したり、暗黒の条件下をずっと続けながらEC、 SC…

脳障害動物の環境療法:実験的クレチン症

環境療法ということばは、よくこなれた日本語でないかもしれない。温泉療法のたぐいととられそうである。豊環境による脳の発達、それにともなう行動、学習能力の改善・向上の知見が確実なものとなるにつれて、障害の問題に活用できないかという動きが出てき…

行動のECによる改変

ローゼンツヴァイク以前の動物心理学者が、脳を「暗箱」として触れずにきたことは前述のとおりだが、探索行動や各種の学習行動にかんする知見は、今日わたしたちがECと呼んでいる環境条件下で飼育することにより、学習行動が促進されることを示していた(…

生化学的および神経学的EC効果

生化学的EC効果-シナプスの化学的伝達物質であるアセチルコリン(ACh)を分解する酵素、 AChエステラーゼ(AChE)の単位重量当りの値を、準自然環境(SNE)、 EC、 ICで比べてみると、ICに比べてECが、ECよりもさらにSNEで、 AChEの活性が低…

大脳皮質:形態学的EC効果

大脳皮質の厚さ、湿重量から始まり、血管や膠細胞の数、ニューロンの細胞体の大きさ、ニューロンのアンテナ(入力)である樹状突起の枝分かれ、棘の数、シナプスの数、接触面積の広さなどの形態学的指標、神経伝達物質であるアセチルコリンにかかわる酵素活…

EC効果、IC効果

なんらかの指標についてEC、あるいはICの効果をみるさいに、初期の研究では両極端のECとICの2群のみについて、ICを対照群としてEC効果と称していた。これは正確にはEC ・ IC 差とでも呼ぶべきものである。EC効果、あるいはIC効果は、 sc (いわゆる…