2014-05-14から1日間の記事一覧

遺伝子治療と人間のかかわり

危惧すべきなのは、日本の医学界の遺伝子治療の技術の先走り、技術主義である。遺伝子治療を推進する医師、研究者たちはそのことに熱心なあまり、技術水準のこと以外は眼中になく、その技術を使うにあだっての受け皿の整備にまでは気がまわっていないようだ…

ベクターウイルスの危険性

私自身、みずからの調査能力のなさをさらすようで恥ずかしいのだが、取材をある程度進めるまでそのほんとうの実態を知らなかった。はじめて知ったときはもちろん驚いた。 効果だけではない。危険性もまだはっきりしていない。 なにしろ「遺伝子」という、人…

ベクターとしてのリボソーム

Kラス遺伝子の働きを抑えるアンチセンス遺伝子を、プラスミドという小さな遺伝子のかけらにくっつけて、それをリボソームという油の小さな粒に包み込んだものを作った。リボソームを遺伝子の運び屋に使うのは、前述した名古屋大学脳外科の吉田講師の遺伝子…

遺伝子修復

ガンの遺伝子研究は、恐ろしいばかりの進展を見せている。そこでわかったことは、ガンは遺伝子に異常が起こった病気だということはもう何度も述べてきた。 遺伝子の異常が原因なら、その異常遺伝子を修復して正常な遺伝子にしてやることがガンの根本的な治療…

ガンの遺伝子治療

ひと口にガンの遺伝子治療といっても、さまざまな方法がある。しかもその方法もガンの種類によっても違うし、入れる遺伝子で違うし、遺伝子を運ぶベクターでも違うし、体内に直接入れるか体外で入れるかでも異なる。複雑で入り組んでいるので一般の人にとっ…

GM-CSF:顆粒球マクロファージコロニー刺激因子

免疫は、四段階にわたる玉突き現象、あるいは細胞同士の連携プレーでもってガンを撲滅しにかかるのである。 そしてこの免疫の仕組みを利用して作るのがガンワクチンである。具体的にいうと、ガン細胞にサイトカインの遺伝子を入れることによって、このメカニ…

ローゼンバーグ博士の遺伝子治療

「RAC委員長マッギャリーは、この投票を『歴史的な瞬間』と呼び、さらに『医学の分野では、一千年も前からこういう治療法がもとめられていた』と付け加えた」 ガンの遺伝子治療の新しい扉が開かれた瞬間を、当の本人、米国立癌研究所のスティ廴フソ・A・…

ミサイル療法

吉田講師が取り組んだ研究に、もう一つ、これまたマスコミをにぎわしたTNF(腫瘍壊死因子)がある。一九七五年、ニューヨークのメモリアル・スローソトケタリソダ病院のE・A・カーズウェルとロイドーオールドという二人の医学者によって発見されたサイ…

グリオーマとは

脳は、頭蓋骨をこじ開けると、白い豆腐のようにぶよぶよした大きな塊が左右に一対並んでいる。大脳とよばれるもののほか、その下にいくつか塊があるが、これらは二種類の細胞からできている。一つは脳のあらゆる働きをつかさどる神経細胞(ニューロン)とよ…

ベプチド療法

前述の藤本教授の「キラーT療法」にしろ「ATK療法」にしろ考え方はいいのだが、リンパ球、T細胞の培養が大きな壁となって立ちはだかっている。というのは、増殖するガン細胞でさえ体外で培養するのはそう簡単ではないからだ。まして正常細胞のリンパ球…

エイズの免疫療法

エイズとは、HIVウイルス、いわゆるエイズウイルスに感染して体内のT細胞が冒され、免疫不全となるために、カリニ肺炎やカポジ肉腫、カンジダ症などにかかって、体が蝕まれて死んでいく病気である。 エイズウイルスは、感染すると、異物を認識・識別する…

ATK活性

リンパ球がガン細胞を殺すプロセスでは二つの重要なポイントがあることがおわかりいただけたと思うが、さてそこで、ATK活性のない人にその活性を誘導する方法を説明していこう。 まずガンの手術の際、患者の体内からガン細胞を取り出す。そして分子量五九…

ATK療法

キラーT療法に似た、新しいガン免疫治療の確立を目指して日夜奮闘している医師がいる。内田京都大学放射線生物研究センター教授である。その治療法は「ATK(自己ガン細胞障害)療法」とよばれている。 内田教授は昭和二〇年、松山市生まれ。京都大学医学…

 キラーT療法の具体的な治療方法

まず、少量の抗ガン剤(エンドキサンなど)で負の免疫の中心であるサプレッサーT細胞の勢力を弱めておく。次に、患者の体内からガン細胞とリンパ球を取り出し、体外でガン細胞I、リンパ球-00の割合で混ぜ、培養する。この間にリンパ球の中のキラーT細…

新しい薬、免疫療法剤

そこで、このような状況を打開しようとして現れたのが、免疫療法剤、あるいはその流れを発展させた新しいジャンルの「BRM(生物学的応答調節物質)」とよばれる薬である。 免疫療法剤は、クレスチソ、ピシバユール、ノカルディアCWS、レソチナソなど、…

ガン抑制遺伝子

ガン遺伝子アクセルの研究に次いで、医学界の脚光を浴びたのは、そのアクセルの暴走を抑える働きをする「ガン抑制遺伝子」の発見であった。一九八六年のことだ。 ガン抑制遺伝子はガン遺伝子よりもはるかに取り出すのが難しく、発見までには長い時間がかかっ…

発ガン因子

何ものかによってガン遺伝子が傷つけられ、ダメージを受けるとアクセルが壊れるのである。そしてその何ものかは、発ガン因子とよばれ、圧倒的に多いのは化学物質である。この世に存在している化学物質は数万以上あるといわれるが、このうち、二〇〇〇種類以…

成長に必要な癌遺伝子

正常細胞のなかに潜んでいるガン遺伝子はいったいどんな働きをしているのか。 実に正常細胞のなかでは、ガンとは無縁で、おとなしくマジメな働きをしていたのである。主として細胞の増殖や分化を指令するという働きだが、それ以外にも、他の遺伝子の働きを調…